世界から猫が消えたなら


ある一人の成年が突然の病に倒れ、医師から余命を宣言される所から物語は始まります。
余命を宣言され途方に暮れていた所に突然成年と瓜二つの悪魔と呼ばれるもう一人の成年が現れます。そして悪魔はこう成年に話しかけます。明日君は死ぬから生き延びたければこの世界の何かを一つ消すことで1日生き延びる事が出来るという契約を促します。
命が惜しい成年は悪魔と契約を交わすのですが、そこから消えていくのは成年が大切にしていた恋人や友達、そして思い出までもが一つ一つ消えてなくなってしまいます。せめてこの世界から消える前にと成年は大切な人と連絡を取り合ったり会いに行ったりするのですが、最後は全て記憶や思い出も消えてしまいその存在していた世界がまるで始めからなかったかのように塗り替えられてしまいます。
こうして1日の命と引き換えに大切なものがほとんどなくなってしまった頃、悪魔はこう成年に話しかけます。「この世界から猫を消しましょう。」そう告げられた成年は命を終える覚悟を決めます。
何故なら猫との思い出には成年が大切にしていた母親の記憶と想いが沢山溢れていたからです。
物語の結末はこうして幕を下ろしますが、この映画の一番の見所は大切なものが一つ一つなくなってしまう所にあります。
当たり前にあったはずの日常のものが、ある日突然消えてなくなる。それは生まれながらにしていつか命を終えていく尊さや悲しさに近いものであり、この作品のなかにある大切なものまたいつまでも存在するものではないと言われているようなメッセージ性を深く感じられるとても素敵な作品となっています。